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ヴィレの個人用呟き備忘録。美術や読書なんかを中心にまとめるよ。 読むのならあまり信用しないで、気になったら自分で調べた方が良いよ。 飽き性だからいきなりやめるかも
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絶望のきわみで

紀伊國屋書店、エミール・シオラン「絶望のきわみで」読了。22歳のシオランが若き日の狂気すれすれの状態で綴った幻の処女作。手を出したら抜け出せなくなりそうで節制している作家の一人。生き難い若者とはいつの世にもどこの国にもいる

「私にとってこの本は、ある種の解放、わが身を救う爆発であった。もしこの本を書かなかったら、私は私の夜に終止符を打っていたに違いない」という序文で 始まる絶望と死の本。一種の遺書。書いて遺すのではなく、書を遺すという意味の遺書だと思う。全てに意味がないのならば死さえも意味は何もない

「新しい苦悩の理由を手に入れるために、愛に裏切られたいと願う――これが私の惨苦だ。というのも、私達に私達の失墜を啓示するのは愛だけだから。死を直視した者は、それでもまだ愛する事が出来るのか。愛で死ぬ事が出来るのか」美しいと思う

「こうして君は老いを知り、苦悩を、そして死を知った。快楽とは錯覚であり、あらゆる錯覚の中でも最大の、この錯覚の虜になった享楽者達は、物事のはかな さを何もわかってはいない――これが君の下した結論だった……生誕を、老いを、死を免れぬうちは、再び戻っては来ない、これが君の言葉だった」

夭逝はある意味で才能の一つだと思う。世の中の「いつでも死ねると思えば気が楽になる」という考え方の発端のようにも思える。22歳でこんな本出して遺書 ばかり書いて自殺せずに84歳まで生きるなんて正気の沙汰じゃない。この人の思想が年を重ねるにつれてどう変わっていくのか
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