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ヴィレの個人用呟き備忘録。美術や読書なんかを中心にまとめるよ。 読むのならあまり信用しないで、気になったら自分で調べた方が良いよ。 飽き性だからいきなりやめるかも
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La Biblioteca di Babeleシリーズ第13巻、L.ブロワ「薄気味わるい話」読了。ボルヘス序文によると「彼はみずから「汚辱の小島」と呼んだイギリスをはじめ、ドイツ、ベルギー、アメリカ合衆国を、ひとなみに憎んでいた」との事。しかもその後も憎悪と罵詈の表現が続く

「煎じ薬」「うちの年寄り」「ブルール氏の信仰」「ロンジュモーの囚人たち」「陳腐な思いつき」「ある歯医者へのおそろしい罰」「あんたの欲しいことはな んでも」「最後に焼くもの」「殉教者の女」「白目になって」「だれも完全ではない」「カインのもっともすばらしい見つけもの」の12編収録

「薄気味わるい話」は新聞に連載された32の短編からなる話で、そこから12編が抜粋されている。題名からも皮肉や憎悪が滲み出ているけど、内容は清々し い程の醜悪な表現が並べられている。一読して真っ先に思った事は「この人は絶対に人間嫌いだ」という事。あと守銭奴というか吝嗇家というか…

「その老人ときたら、姿かたちを見ただけで、虫酸が走るのだ。腐り切った魂からしみ出したどす黒いもので、手も、顔も、汚れに汚れ、触れるのもはばかられ るという点では、これ以上のものは想像もつかぬというほどだった」これが「プルール氏の信仰」の冒頭なんだけどなんかもう目も当てられない

ブラック・ユーモアは割と他人事だから面白くもある面があると思うんだけど、ブロワの作品は読んでいるこちら側が普段目を逸らしているような憎悪や嫌悪み たいな負の感情を突いてくるような作品だった。「煎じ薬」「ロンジュモーの囚人たち」「あんたの欲しいものはなんでも」とか好き

田辺保氏の解説書によるとレオン・ブロワは「詩人であり、乞食であり(「恩知らずの乞食」)、巡礼であり(「絶対への巡礼」)、その血を売って生きる文字通りの貧者であった。生前のかれの声に耳傾けた者は少数だった」

日本語版wikiにも載ってないし、文庫本も出てないので(叢書は出ているみたいだけどほぼ絶版状態)、多分この全集を読まなかったら一生知る事のない作 家だった。このままだときっと闇に消えていってしまう作家だと思うので、見付けたら救い出そうと思う。作品自体は全く救いようがない内容だけど
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