ヴィレの個人用呟き備忘録。美術や読書なんかを中心にまとめるよ。
読むのならあまり信用しないで、気になったら自分で調べた方が良いよ。
飽き性だからいきなりやめるかも
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ハヤカワepi文庫、アゴタ・クリストフ「第三の嘘」読了。「悪童日記」「ふたりの証拠」に続く三部作完結編であり解決編。冒頭は「私」が子供の頃に住んでいた「小さな町」で 投獄されている場面から始まる。ここで読者は「私」は誰か?という問いから始まる。リュカかクラウスか、二部で重なりつつあった一人のどちらか
読み進めるとそれは明らかになる。そして新たな謎が湧きあがると共に「そうだったのか」と次々に解決していく。「第三の嘘」はそれまでの二作と違い、二部 構成となっているのも大きなポイントである。一貫して感情を排した文体は非常に効果的だったようで、作者の思惑にまんまと引っ掛かったみたいです
題名も大きなキーワードで3巻の題名が「第三の嘘」である事から、第一、第二の「嘘」とは?と読者に考えさせる(読み返させる)のも非常に効果的。鮮やか に騙された。作者自身は「悪童日記」を書いた時点で続編を書こうとは思っていなかったらしいが、念のため書けるように余地を残しておいたとの事
すごく考えられた構成だと思う。三部作である事の効果ばかり言っているが、物語としても素晴らしかったです。とても悲しい物語。さらに言えば、改めて読む と作者の自伝的要素がかなり強い作品だったなぁと思う。クリストフさんはハンガリーからスイスへと亡命した作家であり、作品は仏語で書かれている
亡命と言うものの実質的には難民作家と言った方が適切であり、生計を立てるために移住先の仏語で執筆したが、ハンガリー語への思い入れも大変強い人だった らしい。そんな人にとって母国語を失う事は魂の喪失と同等。移住先の言語という不自由な言語で執筆する事は魂を取り戻す事であった
後に作者は「文盲」という名の自伝も執筆している。題名もさながらだが、そこには「フランス語は私の母語を殺し続けているのです」と記している。まさに言語に翻弄された人生であった事が伺える。と、ここまでなんか復習代わりにメモしてあった
「一冊の本は、どんなに悲しい本でも、一つの人生ほど悲しくはあり得ません」この台詞には参りました。そして最後の一文に見せた感情的な所も。三作目は割 と賛否両論みたいだけど、個人的にはこの終わり方で綺麗にまとまっていると思う。より発展させたいなら他作品を参照という事で
あとは訳がすごく上手いという事。3作の原題は「Le Grand Cahier」「La Preuve」「Le Troisième Mensonge」になるんだけど、1作目「大きなノート」じゃここまで印象付けられなかっただろうし、2作目も「証拠」じゃ読者はあまり考えなかっただろう
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