忍者ブログ
ヴィレの個人用呟き備忘録。美術や読書なんかを中心にまとめるよ。 読むのならあまり信用しないで、気になったら自分で調べた方が良いよ。 飽き性だからいきなりやめるかも
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

恒文社、イェジ・アンジェイェフスキ「天国の門」読了。20世紀ポーランドの作家アンジェイェフスキが1960年に発表した本。代表作には「灰とダイヤモンド」っ ていうのがあるけど、このフレーズは結構あちこちで用いられていると思う。ちなみに本書ではヤツェック・ボヘンスキの「タブー」も収録されている

この人について全くの無知なのだが、最初はカトリック思想の立場から人間の心の天使と悪魔の問題に正面から取り組み、ポーランドのベルナノス(仏のカトリック作家)とも呼ばれていたそうだが、WW2を契機に思想は変わり次第に左傾、カトリックの信仰と訣別し、その後入党

スターリン治下の誤謬と逸脱の時代に批判と反省の筆を加える文学があらわれ、アンジェイェフスキが書いたのが「闇は地をおおう」と「天国の門」であるとい う、さらに発表後は脱党している。この人の思想の変遷を見ていると当時のポーランド情勢の厳しさが伝わってくるようなこないような

これは子供十字軍の遠征の歴史小説という位置付けがされている。子供十字軍というのは、ある羊飼いの少年が信託を受けたと称し、聖なる御墓を救うには 子供の力が必要であると言う事で結成されたもの(この辺はwikiに載ってなかった)。結果的に悲惨な結末を迎えてしまう訳だが

それは良いとして、この文体と言うのがとんでもなく実験的で読み難く、文章に句点を極力使用せず、約130ページの本文に対したったの2センテンス(ほぼ 1文)のみという恐ろしい文体でした。一気読みしたわ、苦行かと思ったわ。ちなみにデュヴェールの「幻想の風景」もこんな感じである

でも訳文だから悪いのである。訳者も日本語は関係代名詞がなく、文の切れ目がはっきりしてるから美しいとは言い難く気持ちが重いって言ってるし。きっと原 書なら綺麗なんだろう。ストーリーは5人の少年少女が信仰ではなく性愛によって動かされている、罪のない子供達が実は罪の塊であるという風な感じ

ただ一人行軍の指導者ヤコブのみがそういう感情とは無縁で自分が純潔だと信じている。要するに皆ヤコブを愛しているから行軍する。だがヤコブが聞いた信託 は孤児のヤコブの男色相手のルイ伯の、罪のない子供の純潔こそが聖都の解放に繋がるという固定観念の声であったという話…

文章の中には告解も含まれているので、ていうか文脈掴むの超大変だったんで(だって今誰が話してるかわかんなくなるから)あらすじ間違ってたらすみません けど、多分こんな感じ…どうしようもなく救われない話。ヤコブに罪の意識がないから余計に救われない。しかも十字軍の結末を知っていると余計に…
PR
カレンダー
11 2024/12 01
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31
PR
ブログ内検索

Template by Emile*Emilie
忍者ブログ [PR]