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ヴィレの個人用呟き備忘録。美術や読書なんかを中心にまとめるよ。 読むのならあまり信用しないで、気になったら自分で調べた方が良いよ。 飽き性だからいきなりやめるかも
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オランダ絵画のイコノロジー―テーマとモチーフを読み解く

日本放送出版協会、エディ・デ・ヨング「オランダ絵画のイコノロジー」読了。特に興味深かったのがキリスト教文化圏における山の考え方について。古来より日本人にとっての山は多くの俳句に残されている通り景観を楽しむものであると考えられるが、キリスト教文化における山の解釈とは

山は神学的に考えると大きく二つの成り立ちが挙げられる。
1「天地創造に際して神は山や谷のある世界をお造りになった」即ち最初から凹凸のある形として造 られたものである。
2「世界は滑らかな球形(宇宙の卵)として造られ、山は人類の堕落の結果として表された」即ち球形が崩壊し造られたものである

なんだか性善説、性悪説にも通ずるものがある。人類の堕落というのは創世記のノアの大洪水が代表的。「水はまた、ますます地にみなぎり、天の下の高い山々 は皆おおわれた」(旧約聖書創世記7-19)ちなみにそれ以前には山に関する記述は聖書には多分ない。よってエデンの園には山はない、はず。丘はあるかも

ちなみに先の聖書の記述から1派の人達もノアの洪水で山が歪んだ事は同意じている。山を巡る解釈というのは神学者間でも結構繰り広げられていて、ルター (平地育ち)は「罪深き人間への罪が自然への罰の形で表出している」と考えたし、カルヴァン(山育ち)は「神の創造物は無条件に美しい」と考えた

日本には山岳信仰という文化があり、山神様がいるので絶対不可侵の地だとかいう伝承は内陸部では比較的顕著にあったりする。そうでなくても日本人の富士山 好きはなかなか。日本における山岳感は比較的畏怖の感情が強いけど、キリスト教圏にとっての山岳感はどちらかというと嫌悪感の方が強いみたい

同じ山を指しても、チベット名チョモランマは「大地の母神」という意味だけど、英名エベレストは人名だしね。宗教観の違いによる山岳感の違いがよくわかる。まぁ遠い近いも勿論あるだろうけど

やはり日本(神道・仏教圏)にとって山神様がいるというのはアニミズムも関係してるので、畏怖や美の対象として成り易かったのではないかと思う。神道なら神体山、仏教なら須弥山ね。あとは地母神が女神だとかも

前に、山は球形としての世界における崩壊=廃墟といった本を読んだ事があったけど、山を廃墟と捉えるのはなかなか面白い。日本では廃墟ブームなんかもあったけど、その不完全の美を愛する素質が日本人の根底にはあるのかもしれない

でも、平坦なオランダが山を描く理由は結局の所無い物ねだりだと思うけどな、個人的には。田舎者が都会に出たりさ、都会人が田舎に憧れたりさ。内陸国の方が海の絵描いたり、そんな感じの方が人間らしくて良いと思うけどなぁ
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