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ヴィレの個人用呟き備忘録。美術や読書なんかを中心にまとめるよ。 読むのならあまり信用しないで、気になったら自分で調べた方が良いよ。 飽き性だからいきなりやめるかも
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La Biblioteca di Babeleシリーズ第7巻、ヴォルテール「ミクロメガス」読了。ヴォルテールは本名のフランソワ=マリー・アルエ(Arouet)のアナグラムの一種だ とか意地っ張りを意味するヴォロンテール(volontaire)由来だとか何とか要するにペンネームだ

表題他、「メムノン」「慰められた二人」「スカルマンタドの旅行譚」「白と黒」「バビロンの女王」の6編収録。ボルヘスは、ヴォルテールの物語にはアント ワーム・ガラン訳の「千夜一夜物語」とスウィフトの「ガリヴァー旅行記」という二つの典拠があると言っている。読んだ事無いけどそんな気がする

La Biblioteca di Babeleシリーズの何巻かに「千夜一夜物語」も入ってたような気がするので後で確かめる事にしよう。個人的には「ガリヴァー旅行記」風の作品の方が好 み。バビロニアの雰囲気はボルヘス作品にも見受けられるけど、やはり「千夜一夜物語」が関係しているか

「メムノン」の書き出し「或る日のことメムノンは、完璧に賢明でありたいと云う、血迷った企てを思いついた」から最高です。完璧に賢明でありたいという事 は血迷っている!そしてそれは気違い沙汰なのだ!そして彼は「完璧主義は身を滅ぼす」というのを清々しくそして痛々しく証明してくれる

18世紀におけるSF哲学物語「ミクロメガス」も最高です。シリウス星人のミクロメガスは巨星に住んでいるので身長はとても大きく39キロもある巨人。なにせ名前がミクロでメガだしね。そのミクロメガスと身長2キロ弱の土星のアカデミー幹事とが地球にやってくる話

で、ミクロメガスのような巨人からしてみれば土星人も矮人(こびと)でしかない。ならば我々人間は賢明な極微小物であり、原子(アトム)であり、昆虫であり、ただのダニである。そんなダニ共が案外まともな話をしているので吃驚仰天という話

哲学するダニ達に賢人である巨人は「霊魂とは何か」を問う。それまで一同に同じ答えを返していたダニ達は口々に違う答えを返す。マルブランシュ派「私のた めに一切の業を行い給うもの、それは神であります…神は一切をなし給うのです」ミクロメガス「むしろ君はいない方がいいんじゃないの」という皮肉

あとは「スカルマンタドの旅行譚」も良い。
「或る夜のこと、愛欲の歓びに感極まって、彼女は私を抱き締めつつ「アラー、イラー、アラー」と叫んだ。これはトルコ人にとっては神聖な秘跡の言葉なので ある。ところが私はてっきり愛の表現に違いないと思ったから、これまた思い切り愛情こめて、「アラー、イラー、アラー」と叫んだものだ。……すると翌朝、イスラムの導師がやって来て、私に割礼を施そうとした。とんでもないと断ったら、早速この地区の裁判官が、これまた如何にも誠実な男らしく、ではお前を尻から串刺しにしてやろうかと提案してきたのである。かくて私はわが包皮と尻とをゼッキーノ金貨千枚で救い出し、急ぎペルシャへ遁走したものだ。トルコではもう二度と、ギリシャ正教のミサにもカトリックのミサにも行かず、誰と会うにせよ、二度とアラー、イラー、アラーなどとは叫ぶまいと堅く心に誓いながら」

ただの馬鹿じゃん!だがこの馬鹿っぽさの中に隠れる宗教批判!翻訳者は川口顕弘、江戸っ子みたいにしたかったらしいが、そういう問題じゃなく上手過ぎる。 今日はフランス革命記念日だしヴォルテールについて語っても怒られないでしょ。なにげにヴォルテールの命日は僕の誕生日なのです

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