ヴィレの個人用呟き備忘録。美術や読書なんかを中心にまとめるよ。
読むのならあまり信用しないで、気になったら自分で調べた方が良いよ。
飽き性だからいきなりやめるかも
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岩波新書、大平健「やさしさの精神病理」読了。世の中には「やさしい」ものが溢れていると著者は言う。胃にやさしい、お肌にやさしい、やさしい経済学。人との付き合いにおいても「やさしさ」は付き纏う。だが、旧来の「やさしさ」と近年の「やさしさ」はどうやら違うのではないかというのが論点
例えば、年寄り扱いするのは失礼に当たるから席を譲らないやさしさ。進路の話などお金のかかる相談は親にしないやさしさ。周囲に心配をかけたくないから病 院に通っている事を言えないやさしさ。あの人はやさしい人だから愚痴や相談は出来ない、と言うやさしい人。思い当たる節が多々あるはず
旧来の語法としての人間関係におけるやさしさは「相手が自分の気持ちを察してくれ、それを我が事のように受け容れてくれる時に感じられるもの」だったが、 近年は「お互いを傷付けないように気遣う事」がやさしい人同士のやさしい関係で「不用意に親切そー」な事をして傷付ける事はやさしくない事である
だが皆が皆やさしい訳ではなく、無神経な人もいる。そういう人とは距離を置く。さらにやさしい人にとってのキーワードは「プライバシー」と「プライベー ト」、自分の本当の気持ちを人に知られるのが嫌なのでヒントになる具体的な事を隠すのである。求めているのはホットな関係でなくウォームな関係
だが「やさしい人達は他人や自分が傷付くことには非常に敏感ですが、既に傷付いている事には妙に鈍感な傾向」がある。例えば部下をいびる上司に対し、上司 の方が傷付いていてその鬱憤を晴らしているのではとは考えてもみない。上司の方も傷付いている事を敢えて言う事はしないだろうし
95年の本で言葉遣いが少し古臭い所もあるけど現代でも充分通用する内容だった。エピソード毎にカウンセリングの症例が書かれていて読み易い。現代っ子は 基本的にやさしいが故に傷付きやすい。人間関係を潤滑にしたいから「空気を読む」なんて流行ったんだろう、読めない無神経な人は拒絶する
現代の人間関係は希薄だなんて言われてるけど、その裏にはやさしさの転換があるのだと思う。「相手はこう思っているだろう」と予想し、探ってお互いに踏み 入らない関係というのが近年のやさしさの理想形。だからその糸は細くて切れやすい。そしてその予想故に食い違いやトラブルが起きる
やさしい人は本心を言わないから食い違ってる事を裡に秘めてしまう。同じやさしい人に(重い)相談をし、もし涙を見せようものなら相手が狼狽するだろうと予想しているから。だから独りで悩む事になる。そして親密でない精神科医に悩み相談をする事になるのです
題名では「精神病理」と書いてあるけど全然そんな重い話じゃない。紹介されている症例も病気じゃないけど何かに悩んでいる人で、それは職場関係とか結婚を 迷っているとか家族と上手くいかないとかすごく身近な話で、頷きながら読めた。やさしいから相手もやさしいと思ってるしやさしさを求めてる
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