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ヴィレの個人用呟き備忘録。美術や読書なんかを中心にまとめるよ。 読むのならあまり信用しないで、気になったら自分で調べた方が良いよ。 飽き性だからいきなりやめるかも
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ひきこもりはなぜ「治る」のか?―精神分析的アプローチ (シリーズCura)

中央法規、斎藤環「ひきこもりはなぜ「治る」のか」読了。「生き延びるためのラカン」をジョジョの人が表紙書いたというRTを見て斎藤さんの本が読みたくなった訳ですが…近くの図書館では何故か閉鎖書庫の本ばかりで、この本しかちゃんと借りられなかったのです。何故なのだ

題名には、必ずしも病気とは言えない「ひきこもり」を「治す」とはどういう事なのか?という疑問が含まれている。それだけでは病気ではないから、社会参加には様々な支援や対策が有効なのだが、治療によって「治る」事もある。それは精神分析的にどういう事かという本です

一応本書にも少しラカンの理論に触れている。ひきこもりを苦しめる要因として最大の葛藤は「生存の不安」と「実存の不安」の問題であるとここでは述べられ ている。生存の不安は金銭的な不安やいつまでこの生活を続けられるかという不安だが、実存の不安とは自信や生きがいの不安である

人は誰しも生きる上で自己愛を必要とする。これは「自分は自分である」という事だ。自己中やナルシストとは(自己愛の歪な形ではあるが)違う。精神病で自 殺が起きるのは自己愛が破壊されるからだ。自分に向かう自己愛は自信やプライドという形をとるが、なかなか一致しない。時に反比例を起こす

「プライドが高い人は往々にして自信がありません。自信がある人はプライドにあまりこだわりません」 ラカンは子供の発達段階に鏡像段階を考えていた。子供は鏡を見る事で自己の全体像を把握する。この喜びと驚きが自己愛の基礎になる。これが「鏡」が人間に とって特別なものである理由だ

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生きることも死ぬこともイヤな人のための本

日本経済新聞社、中島義道「生きることも死ぬこともイヤな人のための本」読了。本人と架空の4人の人物が対話するという形式。章立ては全6章。「生きてい たくない」「世間に従いたくない」「働きたくない」「ひとから評価されたい」「ひとから愛されたい」「死にたくない」で構成

登場人物がルサンチマンに溢れている印象。自分を分解すれば一人一人が極端になるものだが、読んでる 側としては極端な印象は受ける。そして本の型式を取れば結論を書かなくてはならないので、結論に向かう形にしなくてはならないのはわかるのだけど…論は結 構堂々巡りだった気がする

人はなぜ危険に近づくのか (講談社+α新書)

講談社+α新書、広瀬弘忠「人はなぜ危険に近づくのか」読了。なんでこんな本借りてきたんだろう…とりあえず読んでしまったので。広瀬さんが災害心理学が専門らしいので、災害関係が話題の中心になるのかなと思ったら、案外そうでもなかった。危険は事故や災害に限らず
後半は危険に対する男女の捉え方の違いが書いてあって面白かった。男性が女性より短命である理由の一 つとして、男性は行動がリスキー且つリスク愛好者である事が挙げられる。傷害事件を起こし易く、無謀な運転をしがちで、簡単に諍いに発展する。この破滅性 が男性の早死にを招いている

この傾向は世界的なもので、アメリカの疾病対策予防センターの報告によれば「全ての年齢において、女は男より健康的である」との結果も出ている。自殺が多く、殺されやすく、ドラッグ乱用が多く、酒に溺れ、シートベルトを締めない、全て女性より男性の方が多い

心理学用語でマキシマイザーとサティスファイサーという言葉がある。マキシマイザーとは「どこかに絶対に正解がある」と考える理想主義者。一般的に女性の 方が多く、例えば結婚相手を探す時に運命の人を探すというのはこういう事だ。買い物で長い時間かけて悩むのもこのタイプ。最良のものを探し求める

サティスファイサーとは「絶対的な正解はない」と考える現実主義者。一般的に男性の方が多く、例えば結婚相手を選ぶにしても多少の妥協をするのはこういう 事。買い物でも「これでいっか」となりがち。マキシマイザーの人は同じものが安くなったらとても後悔するので、とても対照的である

このマキシマイザー人間は選択肢が多過ぎると、正解を選び出す事が困難になってしまう。何かを選ぶ事は選ばれなかった全てを失う事に繋がるからだ。選択肢 が広がれば「これだけの中から選んだのだから良いものだ」と満足するが、その代わりに「もっと良いものがある」という不満足と疲労感と後悔がある

このような傾向は結婚相手、子育て、就職といった重大な局面においては有利でありとても不利。選択で欠点や失敗が見つかれば、自分の選択に満足できず、正 解を求めて彷徨う。求めていたものと違うと判断すれば離婚し、子育てを放棄し、職業を変える。危険の回避であると共に危険に近付く事だと思う

だが女性はネットワークを作るのが得意である。マキシマイザー人間だとしても、ストレスを表にちゃんと出すんだよね。一方で男性はネットワークを作るのが 苦手。男性のマキシマイザー人間だとストレスだとしてもあまり表に出しにくい。これは男性の破滅性を高める要因にも繋がる
鏡の国のアリス (角川文庫)

角川文庫、ルイス・キャロル「鏡の国のアリス」読了。アリスが鏡を通り抜けてチェスの国に行くというお話。チェス盤持ってたら、アリスの通ったルートをそのまま辿る事が出来る。挿絵も多いし、訳も変に現代風じゃないところが良かった。ただ表紙がもう少し何かなかったものか…これは綺麗だけど、昔の版のはちょっとな…

ちなみにディズニーの「不思議の国のアリス」は「不思議の国のアリス」と「鏡の国のアリス」の物語を融合させたものなので、セイウチと大工と牡蠣、喋る花園とバタフライ、トウィードルディーとトウィードルダムなんかは鏡の国に出てくる。あとハンプティ・ダンプティも鏡の国
映画「真珠の耳飾りの少女」鑑賞。フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」を着想に書かれた小説が原作の映画。よってフィクション。最初実話かと思って見てしまった。少女のモデルが誰なのかはわかっていないが、物語の作者が絵画を見ていたらこういう物語が浮かんだろうな

主人公はフェルメールの家で使用人として働く事になった少女グリート。とにかく映像が綺麗、1660年代のオランダの雰囲気がどこを切り取ってもフェルメールの絵画みたいで綺麗。個人的に料理の場面って大好きなんだけど音と良い映像といい静物画みたいで良かった

ネタばれだけど、グリートが頭巾を外す時、フェルメールのはっとした表情とか、ピアスの穴を開ける場面とか、直接的な性描写がないにもかかわらずエロティックな雰囲気が漂う映像はすごい。ピアッシングなんて言わずもがな、言わずもがななのですが、美しいですね

あの潤んだ瞳や濡れた唇の訳がね!真珠の輝きがね!特に面白い事が起こるような映画じゃないんだけど惹き込まれた。絵画を見る時のように、色の対比やモチーフの意味を探ったりするのがとても興味深かった
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