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ヴィレの個人用呟き備忘録。美術や読書なんかを中心にまとめるよ。 読むのならあまり信用しないで、気になったら自分で調べた方が良いよ。 飽き性だからいきなりやめるかも
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La Biblioteca di Babeleシリーズ第8巻、H.G.ウェルズ「白壁の緑の扉」読了。ウェルズといえば古典SF「タイム・マシン」「宇宙戦争」「透明人間」が有名どこだけど、SFはあまり手出ししてないジャンル。「宇宙戦争」はスピルバーグがこないだ映画化したね。見てないが

表題他、「プラットナー先生綺譚」「亡きエルヴシャム氏の物語」「水晶の卵」「魔法屋」5編。タイトルは結構翻訳で変わってるらしく、「白壁の緑の扉」は 「塀についたドア」「塀についた扉」「くぐり戸」「くぐり戸の中」等あるみたいだが、原題はThe Door in the Wallである

ウェルズの著作も知ってたし、なにせSFと言えば宇宙、異星人、化学の力万歳!のイメージが強く結構苦手だったのだが、この短編集は全然そんな事なく読む 事が出来た。どちらかというと不思議系の話が多く「不思議の国のアリス」にちょっと現実感と恐怖感を加えた感じ。同じ国の作家だしね

ボルヘスは「ウェルズは、幻想物語は一つだけ幻想的事実を含んでいさえすればよいと考えていた」と考察している。読んでいると確かに妙に現実に沿った話が 多い。もちろんボルヘスがそういう短編を選んでいるのもあるが。トンデモSF小説とは違う現実味が、幻想小説のジャンルに収める所以であると思う

「白壁の緑の扉」は比較的寓話的作品で、一人の国会議員が少年時代に見た幻想にとりつかれる話。少年時代に緑の扉の向こう側にある美しく優しい幸福の庭園に迷い込んでしまう話。結局正体不明の女性に現実へと戻されるんだけど、彼は緑の扉をまたくぐりたいと思っている。だけど扉は試験当日や女性と逢引したい時、父の臨終に際した時など重要な時に現れてしまう。彼は扉を開ける事はないのだけど、代わりにどんどん出世はしていく。さて、どうなる?といったストーリー

小野寺健(訳者)のあとがきに「「白壁の緑の扉」を読んだ者はすぐにフォースターの「生け垣の向こう側」を思い出すであろう」と書いてある。僕は読んだ事無いので読んだ事ある人はやっぱりそう思うのかな

「魔法屋」も好き。奇術用の道具が一杯売られている店に来た親子の話なんだけど、最初は息子視点で読んでて、父視点に変わる瞬間が来る。楽しい夢が悪夢に なって、それから目が覚めていく感じ。「耳をすませば」みたいな。ちくまから「新編魔法のお店」っていう本が出てるんだけど正にそんな感じ
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