ヴィレの個人用呟き備忘録。美術や読書なんかを中心にまとめるよ。
読むのならあまり信用しないで、気になったら自分で調べた方が良いよ。
飽き性だからいきなりやめるかも
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ちくま文庫、レオ・レオニ「平行植物」読了。平行植物とはLa botanica parallelaと称される長い間アカデミズムから異端視されてきた植物の事。平行植物達は記録する事が不可能で個体のサンプルを集める事ができない。よってその個体の多くはスケッチや写真でしか残されていない
平行植物の「平行化」とはこの植物が持つ普遍の異質性を表した言葉である。平行植物に見られる異質性はハナンプール大学の生物学研究所のバリバイ博士のオ カシシの幻覚作用についての研究からうかがい知ることができる。オカシシにはメスカリンに並ぶメテックスカリンHBという麻薬成分が含まれてる
メテックスカリンHBによる幻覚作用、通称パラジェミネーションと呼ばれる特殊な幻覚作用は、意識はそのままで変化しないが身体が二つに分裂するような感 覚、及び確信を持つようになる。被験者は二つの肉体の中で一つの意識が行き来する。しかも幻覚である二つの身体は第三者への可視性を含んでいる
幻覚作用(パラジェミネーション)の例に見るように現実と非現実の狭間にある異質の現実に存在する平行世界に存在する植物群こそが平行植物である。これら の植物達は遠くから見ると植物らしさを備えるが、実は全く別の領域に存在する植物である。よって写真には写るが肉眼には知覚されない植物もある
ここまで書くとわかってしまうかもしれないがレオ・レオニによる架空の植物群を収めた本がこの平行植物。全ては作者によるフィクションです。作者は国語の 教科書のスイミーで御馴染のレオ・レオニ。スイミーの海草類の描写も見事だったが、このような学術書?でも描写力は素晴らしい
「平行植物」は「アフターマン」「鼻歩類」に次ぐ生物系三大奇書のうちの一冊。現実と非現実の狭間の平行世界に存在する幽霊のような植物を描いてるだけ あって生物学要素はそこまで強い訳ではなく、(架空の)伝説や伝承による構成もあるが、植物だけを扱ったこの類の本はこれを含め珍しい
植物の名が神秘的で美しい。訳者の腕にもよるんだろうけどツキノヒカリバナ属や夢見の杖属なんかは特に。学名は本当にありそうというか命名表記に忠実だと 思う。挿絵(ここではスケッチ)も実体の掴み難さが表れているように思える。伝承に頼りがちな点は否めないが、夢見の杖の解説は面白かった
でもこういう架空性を描く作品を読むと、特に解説を読むと、必ずと言っていいほどボルヘスが出てくるのでなんというか幸せだなぁと思う
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