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ヴィレの個人用呟き備忘録。美術や読書なんかを中心にまとめるよ。 読むのならあまり信用しないで、気になったら自分で調べた方が良いよ。 飽き性だからいきなりやめるかも
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La Biblioteca di Babeleシリーズ第17巻、R.L.スティーヴンソン「声たちの島」読了。「宝島」のスティーヴンソン、「ジキル博士とハイド氏」のスティーヴンソ ン。スティーヴンソン、スティーブンソン、スティーヴンスンややこしい、今回はスティーヴンソンですね

表題他、「壜の小鬼」「マーカイム」「ねじれ首のジャケット」の4編収録。「声たちの島」「壜の小鬼」はハワイが舞台のお話。印象に残ったのは「壜の小 鬼」で、お伽噺みたいで面白かった。持っていると金も愛も名声も何でも手に入る悪魔の壜を手に入れた男。この壜は他人に売ると力を失ってしまう

さらに、手に入れたもので満足しないと災難が降りかかる。壜を売る前に自分が死んでしまうと自分は地獄に堕ちてしまう。しかも、壜は買値よりも安く売らな いと再び持ち主の元に戻って来てしまう。さて極限まで安価で売ったら?一度手放した壜を再び手に入れたいなら?こんな詐欺紛いの話を誰が信じる?

何気に制約が多いのよな、この壜。ちなみに割るっていう解決策はありません、ちゃんと本文中にも書いてある。不思議な話っぽく見えるけど、実際は手に入れちゃいけないものをどう処分したものかっていう感じだったかな
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電子書籍、国木田独歩「画の悲しみ」「少年の悲哀」「忘れえぬ人々」「疲労」「牛肉と馬鈴薯」「酒中日記」読了。「酒中日記」が一番印象に残ったかな。日記形式の本って結構好き、時系列がわかり易いし日付がふってあるとそこまで読もうっていう気持ちになるから。捻くれた理由だけど重要でしょ

色んなレビューで「題名から楽しい酔っ払いの日記を想像するだろうが実は…」みたいな事書いてるけど、自分は題名見ても「楽しい酔っ払いの話」は想像しな かったな。案の定楽しい話ではないのだけれど。自分が悪くないのに周囲が悪いせいで自分まで悪人になったような気持ちになってしまう男の話

「ああ百円あったらなアと思うと、これまで金銭のことなどさまで自分を悩ましたことのないのが、今更の如くその怪しい、恐ろしい力を感じて来る。自分にその金銭が有るならば今の場合、自分等夫婦は全く助かるものをなど考がえると、金銭という者が欲くもあり、悪くもあり、同時にその金銭のために少しも悩まされないで、長閑かにこの世を送っている者が羨ましくもなり、又実に憎々しくもなる。総てこれ等の苦々しい情は、これま で勤勉にして信用厚き小学教員、大河今蔵の心には起ったことはないので、ああ金銭が欲しいなアと思わず口に出して、熟と暗い森の奥を見つめた」

植物の名前のつけかた―植物学名入門

八坂書房、L.H.ベイリー「植物の名前の付け方 植物学名入門」読了。特殊な職業に就いてない人達でラテン語をたくさん知っている人というのは、動物愛護家、園芸愛好家、昆虫愛好家だと思う。学名はラテ ン語で付けられるので知ってると色々捗るという訳。というのは表向きで単にラテン語を身近に感じたかった

例えばタバコ属はNicotiana、トウガラシ属はCapsicum、ナス属はSolanumという学名がつき、それぞれニコチン、カプサイシン、ソラニンと対応している(ナス属にはジャガイモも含まれているので)語尾が違うのは-aが女性形、-umが中性形とかそんな感じ

ケシ属はポピーと呼ばれるが、それは普通名であり学名はPapaver(パパヴェル)という。ちなみにこれもパパベリンという鎮痙薬の元になる。阿片が摂れるケシはソムニフェルム種という種で「睡眠性の」という意味がある。一般に園芸用のケシであるアイスランドポピーはヌディカウレ種で「茎に葉がない」という意味になる

百合はリリウム属に分類され、有名所のカサブランカは「種」ではなく「園芸品種」になるので学名表示はL. 'Casa Blanca'となる。タンポポはタラクサカム種に分類され、シロバナタンポポはT. albidum Dahlst.と白の意味が付加され、発見者名も付加される

普通の園芸家が読んだらおよそ間違いなくめげる。本文の3分の1は羅語表記だし、本の半分近くは羅語の属名と種名と索引。これが面白いんだけど、園芸家で 学名まで興味がある人はなかなかいない(と本文中で何回か著者が言っている)。ちなみに前述した学名命名の例や何かはほとんど触れてないので
フランス短篇傑作選 (岩波文庫)

岩波文庫、山田稔「フランス短篇傑作選」読了。かなり昔に珍しく新品で買った岩波の本なんだけどもしかしてもう絶版なのかね?中身すごく豪華だし値段も700円で超 お買い得なのに、勿体ないな…

ヴィリエ・ド・リラダン「ヴェラ」、アナトール・フランス「幼年時代」、アレー「親切な恋人」、シュオッブ「ある歯科医の話」、プルースト「ある少女の告白」、シャルル=ルイ・フィリップ「アリス」、アポリネール「オノレ・シュブラックの失踪」、ラ ルボー「ローズ・ルルダン」、シュペルヴィエル「バイオリンの声をした娘」、モーロワ「タナトス・パレス・ホテル」、グリーン「クリスチーヌ」、バザン「結婚相談所」、イヨネスコ「大佐の写真」、ギャリー「ペルーの鳥」、デュラス「大蛇」、デオン「ジャスミンの香り」、デュヴェール「さまざまな生 業(抄)」、グルニエ「フラゴナールの婚約者」の18編収録。

短くて読み易いし訳も上手。「ヴェラ」は腹上死してしまった奥さんの幻を見る旦那の話、リラダンって「未来のイヴ」の人だよね「イノセンス」で見た。「親切な恋人」は足が冷たいって 言う恋人のために自分の腹切って寒いならここに足を入れなよっていう…ネタばれもネタばれだけど。「どうだ明るくなっただろう」のAA思い出した

「ある歯科医の話」悪くないコメディ。ああいう皮肉っぽいの仏文学っぽい。「アリス」ママが大好きなアリスの家に弟が生まれて…という話。割とブラック ユーモア、長子はいつだって必死よなぁ。「ローズ・ルルダン」ガールズラブって奴ですね、回想形式というのがまた良いですね

「大蛇」なんだこれ、75過ぎの老婆が若い女の子に下着姿を見せる話、言いたい事はわかるがなんだこれ、そんなに嫌いじゃない…「ジャスミンの香り」やり取りが可愛い。この本全体的に明るい話少ないが、これは明るい

短編は「そう来るか」的な面白さがあるのとすぐに読めるのが良いね。これもバベルシリーズに入れても良い位奇譚めいたものが多かった。奇を衒うというか、誇張しているというか、思想めいたと事か、そういう所も仏文学好き
La Biblioteca di Babeleシリーズ第21巻、A.マッケン「輝く金字塔」読了。ラヴクラフトに似てるなぁと思ったらラヴクラフトが影響受けてた訳ね。「コズミックホラーを最高の芸術にまで昇華した創作者」と言われてるけど、宇宙と言うより黒魔術的ななんか…

「黒い石印のはなし」「白い粉薬のはなし」「輝く金字塔」の3編収録。前2編はどうやら「三人の詐欺師」という本の中の短編らしい。まぁ、タイトルも似てるしなと思ったら別にそういう縛りがある訳でもなかった。「輝く金字塔」よりもどちらかと言えばこっちの方が好きだな

ボルヘスによるとマッケン作品の定義は幾つかあるとの事「悪の存在」「かつてイギリスに住んだ幾多の民族の引力」等。悪というのはラヴクラフト作品にも出 てくるような感じの善の反対というより、闘う相手的な意味。民族の引力というのはマッケンがイギリスの中でもウェールズ生まれという事と関係する

物語の構成が、一つの謎が生まれそれを解決しようとすると恐ろしい目に遭うというスタイルで少し話が読めてしまう。ちなみにこのシリーズは翻訳者のあとが きがあるんだが、訳者南條竹則氏がお屠蘇の酔いが覚めずあとがきに書く事が思い付かないという訳で「儀式」という短編込み。これ6月出版だったぞ
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