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ヴィレの個人用呟き備忘録。美術や読書なんかを中心にまとめるよ。 読むのならあまり信用しないで、気になったら自分で調べた方が良いよ。 飽き性だからいきなりやめるかも
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狂人日記 他二篇 (岩波文庫 赤 605-1)

岩波文庫、ニコライ・ゴーゴリ「狂人日記」読了。短編集で「ネフスキイ大通り」「肖像画」「狂人日記」の3作収録。魯迅が処女作で題名借りたらしいけど当然の如く読んでないのでそれはまた別の機会に。どうでもいいがゴーゴリとゴーリキィって結構な頻度でごっちゃになるんだよな

「ネフスキイ通り」はなんかあまり印象に残らなかったので「肖像画」から。面白かった。当時のロシアの芸術の背景の勉強にもなるなぁと思いながら、どうやらゴーゴリは美術アカデミーに通ってたらしいね道理で詳しい訳だ。写実主義ってこんな感じで合ってる?

作品は二部構成。一部では奇妙な肖像画に魅せられた画家の話、二部ではその肖像画の経緯についてを語っている。構成としてもわかりやすい、種明かしみたい で。この肖像画というのがまるでホープダイヤモンドみたいな感じでミステリアスで良い。当時は酷評されたようだがこれが一番好きだな

「狂人日記」は長官の令嬢に恋してしまった小役人の「おれ」(岩波文庫表紙より)による日記形式で書かれた作品。深刻な被害妄想により犬が書いた手紙まで読めるようになる始末。笑ってしまいそうになるが、本人は大真面目なのである。病んでいく狂っていく様子がすごい

多分統合失調症なんだろうなぁ…当時の研究がどうだったのかはわからないがすごくリアルに描写されている。情景がじゃなく病状が。読み応えがある場面は 多々あるが、日記形式というのを利用した日付の表記がポイントだと思う。一人の頭の中の出来事は壮大なスケールで進んでゆく

この人の作品初めて読んだけど、正に奇譚って感じでバベルの図書館行きでも良かったような気がするのだけれどボルヘスさんはどう思ってたんだろうか。ドス トエフスキーがあったから選外か?いやあれはロシア短編集か、あっても良かったんじゃないかと思うほどの出来だと思うんだけどなぁ…
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悪徳の栄え〈上〉 (河出文庫) 悪徳の栄え〈下〉 (河出文庫)

河出文庫、マルキ・ド・サド「悪徳の栄え」(上)(下)読了。またの名を「ジュリエット物語」といって、「美徳の不幸(新ジュスティーヌ)」と対になる作品。さらに 澁澤龍彦が翻訳して猥褻文章にあたるとして訴えられた上に有罪にされたいわくつきの本…なんだけど文庫で読める時代なんだよな…

ジュリエット(姉)とジュスティーヌ(妹)姉妹は修道院で育てられたのだが、一家が破産した事で修道院から出なくてはならなくなる。そこで別々の道を歩む事になった姉妹、の、ジュリエット側の物語。「悪徳の栄え」という題のインパクトはすさまじいが内容は想像できる通り

「悪徳こそ我々人間に固有のもの、つねに自然の第一法則なのであって、それに比べればどんな立派な美徳だって利己主義的なものでしかなく、分析してみれば 実は美徳そのものが悪徳なのだ……人間における一切は悪徳なのだ」欲望を我慢する事は果たして美徳なのだろうか?それとも悪徳なのだろうか?

上巻の序盤でこう語られているが、この時点でジュリエットは既に悪徳の道に片足突っ込んでる。こんな感じの道楽者、放蕩児、極悪人達、さらに金持ち達との 出会いを通してジュリエットは悪徳の哲学と莫大な金を手に入れていく訳です。そういった意味ではジュリエットの成長を描いた作品ともいえる

なんかえろいんだろうなという用語が一杯出てくるが、読んでいるうちにニュアンスでわかると思う。調べてもいいけど、わからなくてもいい。ジュリエットが男も女もいける質なので、こう日常生活では絶対使いそうもない言葉を色々知る事ができます

最初はそれこそ放蕩に耽るというスタイルだったジュリエットが、だんだん悪に対して哲学的な姿勢を取るようになっていくというのが面白い。殺人も平気でやるのに、不思議とそんなに嫌な感じがしない…最初は読み切るか不安だったけど

下巻の最初でジュリエットが「単なる相続によって王になった人間は、人間の同情を要求する権利しかありやしませんよ」と言うくだりは清々しかった。こう いった知的な面もあるのが彼女の魅力だと思う。一方で美徳の道を歩んだ妹ジュスティーヌの物語は「美徳の不幸」にて語られる訳です


書籍情報社、ルイス・キャロル「不思議の国のアリス・オリジナル」読了。装丁がとても綺麗だったので古本屋で買ってしまった…こうなるとちょっとビブロフィリアっぽいな。金と赤をベースにした外箱が素敵。金もただ箔押しした感じじゃなく、花の模様が描いてあって超綺麗

アリスの原本「地価の国のアリス」と、その翻訳の2冊セットの作りになっている。手紙と栞もセット。この原本がルイス・キャロル直筆の文章と挿絵なんです ね。大英博物館に展示されてるものと同じ。文庫版でおなじみのテニエルの挿絵も勿論素晴らしいけど、キャロルの挿絵も味があって良い

翻訳本はテニエルの挿絵なので比較して読むのも面白い。ウサギが落とすアイテムも若干違ったりする。物語は「不思議の国」ではなく「地下の国」だが、不思 議の国とだいたい同じ。ウサギ穴に落ちるんだからそりゃ地下だよなと今更ながら思った。気狂い帽子屋と三月ウサギは出てなかったな

翻訳本に書いてある注釈も読んでて面白い。ネズミの話(tale)がしっぽ(tail)の形してるなんて今更気付いたわ。あとは黒柳徹子のまえがきとかあります。でもやっぱり本当装丁が綺麗で感動です。原本も背表紙金字で綺麗だなぁ


創元社、ステファニー・ラヴェット・ストッフル「「不思議の国のアリス」の誕生」読了。英米では聖書の次に読まれてる本が「不思議の国のアリス」らしい。そうなれ ばアリスの世界観は文化として生活に組み込まれていると言っても、また将来的に組み込まれていくと言っても過言ではないのではなかろうか

この本はその作者のルイス・キャロルとその時代風景に焦点を当てた本。オールカラーで写真や挿絵が一杯。創元社の「知の再発見」シリーズは1頁1頁の構成 が楽しくてとても面白い、そして内容が濃い。アリスの中で気付かなかったジョークにも今更ながら気が付いたり再発見という感じがする

「アリス」は当時も好意的に受け取られていたらしいが、まさか100年以上経った今も読まれているとは思わなかったろうな。日本でも聖書やシェイクスピア は知らない人は多いけど、アリスは知ってる人多いのがその証。アリスの世界だから可愛いが、実際は親父ギャグばっか言ってる風だな、なんか
幻獣辞典 (晶文社クラシックス)

晶文社、ホルヘ・ルイス・ボルヘス「幻獣辞典」読了。120編の古今東西の幻獣達の解説が収められた辞典。伝説上の怪物だけでなく、カフカの想像した動物や、チェ シャ猫みたいな文学に登場する動物が収められているのが特徴。そしておそらくボルヘス自身が作った幻獣も収められているだろう多分

欧米だけでなく中東やアジアまでも網羅しているのは流石。八岐大蛇が紙幣になってた時代があったなんて知らなかった。そしてそんな事まで知ってるのがボルヘスの本当にすごい所だと思う。また、アニメやゲーム、どこかで聞いた事あるような名前の由来はこれだったのかという発見もある

とりあえずだいたいの読者は開いてすぐにガンダムの宇宙要塞ア・バオ・ア・クゥーの名前の由来は幻獣だったのか!と驚いているみたいです。僕はよくわからんが。ぷよぷよのキャラって幻獣多かったんだなって感じ。カーバンクルとかバロメッツとか懐かしい
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