ヴィレの個人用呟き備忘録。美術や読書なんかを中心にまとめるよ。
読むのならあまり信用しないで、気になったら自分で調べた方が良いよ。
飽き性だからいきなりやめるかも
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岩波文庫、マーク・トウェイン「不思議な少年」読了。こないだ読んだ「人間とは何か」の訳者が合わせて一本みたいなものだから読めって事で。セールで安売りしてたので。トウェインの未完成の絶筆作品。だが、どうやらバージョンが色々あるようで、岩波で揃った形になったが、これはちょっとつぎはぎバージョン
オーストリアの田舎に少年三人組がいたんだけど、ある日題名通り「不思議な少年」が現れる。美少年、自称天使、名前はサタン。この子がまぁ色々とアレな感 じの子で、罪悪感がないというか善悪の区別がないというか。でも口が達者で色々と不思議な事ができる故に少年三人組はすっかり魅了されてしまう
「人間とは何か」では対話形式でペシミズムを表現したが、今回はそれを物語形式で表現した、との事。「人間とは何か」で老人がそこまでうじうじしてた感じ がなかったように、サタン君が結構飄々とやらかすので、やっぱりペシミズムっぽさはそこまで感じなかったな。やっぱ根は明るい人なんだよ、多分
「この人間ってやつは、いわば苦痛の機械と、幸福の機械とを一つに組み合わせたようなものなんだな」とサタン君が言ってたが、本作でもやはり人間機械論の一片が垣間見える。そしてラストで置いてかれた感があるのだが、それはつぎはぎ版であるが故、違う原稿のラストがきてるとか何とか
角川から「不思議な少年 第44号」という本も出てるのだが、そっちの方が良いのかな、話全然別物なのだが。一応有名なのは岩波のらしい。今回は「人間とは何か」をより深める形で読んだけど、予習で「人間とは何か」か、復習で「人間とは何か」かどっちでも良さげです
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La Biblioteca di Babeleシリーズ第27巻、ラドヤード・キプリング「祈願の御堂」読了。ボルヘスがこのシリーズで度々キプリング、キプリングって言ってたけど、ようやくそこまで辿りついた。「ジャングル・ブック」の人なんだって
表題他「サーヒブの戦争」「塹壕のマドンナ」「アラーの目」「園丁」の5編収録。正直手強かった。今までのバベルシリーズで一番手強いんじゃないかってい う位、話がわからない、だが最後で何かが起きたんだなっていうのはわかる。再三読み返さないとわからない…返却期限迫ってるんでそれは無理だが
自分の脳味噌が貧弱なせいかと思ったが、他の人のレビューや解説にもそんなような事書いてあるので少し安心している。とりあえず一読しての感想は読んでい て疲れました。正直一読での理解は無理、いや無茶。料理に隠し味が入ってると教えられても何だかわからない状況みたいな本
例えば電車の中での読書のためには向かない。読むのが速い人にも向かない。あと解説を読まないタイプの人にも向かない。というかもっと長い解説ついてないとわからぬ、バベルの解説は短いんだな。覚悟して読んだ方が良いんだろうな、とりあえず僕は一読でお腹一杯でした
表題他「サーヒブの戦争」「塹壕のマドンナ」「アラーの目」「園丁」の5編収録。正直手強かった。今までのバベルシリーズで一番手強いんじゃないかってい う位、話がわからない、だが最後で何かが起きたんだなっていうのはわかる。再三読み返さないとわからない…返却期限迫ってるんでそれは無理だが
自分の脳味噌が貧弱なせいかと思ったが、他の人のレビューや解説にもそんなような事書いてあるので少し安心している。とりあえず一読しての感想は読んでい て疲れました。正直一読での理解は無理、いや無茶。料理に隠し味が入ってると教えられても何だかわからない状況みたいな本
例えば電車の中での読書のためには向かない。読むのが速い人にも向かない。あと解説を読まないタイプの人にも向かない。というかもっと長い解説ついてないとわからぬ、バベルの解説は短いんだな。覚悟して読んだ方が良いんだろうな、とりあえず僕は一読でお腹一杯でした

岩波文庫、マーク・トウェイン「人間とは何か」読了。トム・ソーヤーやハックルベリー・フィンで有名なトウェインの晩年の作品。厭世的な老人とそんな事ないって言う 青年の対話形式で書かれたエッセイ。とてもじゃないけど、同じ作者が書いたように思えない、かもしれない(読んだ事無いから知らん)
「人間が全く環境に支配されながら自己中心の欲望で動く機械にすぎない」事を論証する(表紙より)と書いてある通り、人間機械論を展開させていく。この頃 のトウェインは莫大な借財、長女の死、末娘のてんかん、妻の重病と悪い事続きで、参りに参り、厭世的になってしまったらしい
人間の行動は自分自身の安心感、心の慰めを求めるという以外には絶対にありえない。全ては自己満足、自己陶酔の現われであり、自己犠牲などありえない。と いう結論は最初の方で言われるので、後の方は青年の反論に老人が答えていく。愛や優しさも全ては自己満足なのである、極論だが否定出来ぬ
だいたいの人って悲観的か楽観的かの2種類に分けられると思うんだけど、その立場によって読了後の感想が変わるかも。僕は悲観的なので諦観という意味で安 心も覚えた、熱血漢だと落ち込むかも。対話形式と言う事もあって、作者の中の悲観主義と楽観主義が葛藤しているようにも思えるんだ
序盤で「一切のものには限界がある――鉄鉱石を黄金にするまでの教育は不可能」という文がある。これは、金属が金や錫、銅、鉛とあるように、人間も「本性、遺伝性、訓練、環境といった点で限界がある」という事、要するに持って生まれたものは変えられない訳で…
なんとなく若い時の自分に向けて、老齢になったトウェインが語っているような内容にも思える。個人的にこのエッセイはトウェイン自身が自分を慰める(自己 満足の)ために書いたものであるような感じがする。悲観主義の向こうに見える楽観主義というか。諦観って絶望的だけどある意味安寧だと思う
そもそもトウェインは楽観主義だったんでなかろうか。わからぬが。訳者が「不思議な少年」も読めと言っているので、また興味があった時に
恒文社、イェジ・アンジェイェフスキ「天国の門」読了。20世紀ポーランドの作家アンジェイェフスキが1960年に発表した本。代表作には「灰とダイヤモンド」っ ていうのがあるけど、このフレーズは結構あちこちで用いられていると思う。ちなみに本書ではヤツェック・ボヘンスキの「タブー」も収録されている
この人について全くの無知なのだが、最初はカトリック思想の立場から人間の心の天使と悪魔の問題に正面から取り組み、ポーランドのベルナノス(仏のカトリック作家)とも呼ばれていたそうだが、WW2を契機に思想は変わり次第に左傾、カトリックの信仰と訣別し、その後入党
スターリン治下の誤謬と逸脱の時代に批判と反省の筆を加える文学があらわれ、アンジェイェフスキが書いたのが「闇は地をおおう」と「天国の門」であるとい う、さらに発表後は脱党している。この人の思想の変遷を見ていると当時のポーランド情勢の厳しさが伝わってくるようなこないような
これは子供十字軍の遠征の歴史小説という位置付けがされている。子供十字軍というのは、ある羊飼いの少年が信託を受けたと称し、聖なる御墓を救うには 子供の力が必要であると言う事で結成されたもの(この辺はwikiに載ってなかった)。結果的に悲惨な結末を迎えてしまう訳だが
それは良いとして、この文体と言うのがとんでもなく実験的で読み難く、文章に句点を極力使用せず、約130ページの本文に対したったの2センテンス(ほぼ 1文)のみという恐ろしい文体でした。一気読みしたわ、苦行かと思ったわ。ちなみにデュヴェールの「幻想の風景」もこんな感じである
でも訳文だから悪いのである。訳者も日本語は関係代名詞がなく、文の切れ目がはっきりしてるから美しいとは言い難く気持ちが重いって言ってるし。きっと原 書なら綺麗なんだろう。ストーリーは5人の少年少女が信仰ではなく性愛によって動かされている、罪のない子供達が実は罪の塊であるという風な感じ
ただ一人行軍の指導者ヤコブのみがそういう感情とは無縁で自分が純潔だと信じている。要するに皆ヤコブを愛しているから行軍する。だがヤコブが聞いた信託 は孤児のヤコブの男色相手のルイ伯の、罪のない子供の純潔こそが聖都の解放に繋がるという固定観念の声であったという話…
文章の中には告解も含まれているので、ていうか文脈掴むの超大変だったんで(だって今誰が話してるかわかんなくなるから)あらすじ間違ってたらすみません けど、多分こんな感じ…どうしようもなく救われない話。ヤコブに罪の意識がないから余計に救われない。しかも十字軍の結末を知っていると余計に…
この人について全くの無知なのだが、最初はカトリック思想の立場から人間の心の天使と悪魔の問題に正面から取り組み、ポーランドのベルナノス(仏のカトリック作家)とも呼ばれていたそうだが、WW2を契機に思想は変わり次第に左傾、カトリックの信仰と訣別し、その後入党
スターリン治下の誤謬と逸脱の時代に批判と反省の筆を加える文学があらわれ、アンジェイェフスキが書いたのが「闇は地をおおう」と「天国の門」であるとい う、さらに発表後は脱党している。この人の思想の変遷を見ていると当時のポーランド情勢の厳しさが伝わってくるようなこないような
これは子供十字軍の遠征の歴史小説という位置付けがされている。子供十字軍というのは、ある羊飼いの少年が信託を受けたと称し、聖なる御墓を救うには 子供の力が必要であると言う事で結成されたもの(この辺はwikiに載ってなかった)。結果的に悲惨な結末を迎えてしまう訳だが
それは良いとして、この文体と言うのがとんでもなく実験的で読み難く、文章に句点を極力使用せず、約130ページの本文に対したったの2センテンス(ほぼ 1文)のみという恐ろしい文体でした。一気読みしたわ、苦行かと思ったわ。ちなみにデュヴェールの「幻想の風景」もこんな感じである
でも訳文だから悪いのである。訳者も日本語は関係代名詞がなく、文の切れ目がはっきりしてるから美しいとは言い難く気持ちが重いって言ってるし。きっと原 書なら綺麗なんだろう。ストーリーは5人の少年少女が信仰ではなく性愛によって動かされている、罪のない子供達が実は罪の塊であるという風な感じ
ただ一人行軍の指導者ヤコブのみがそういう感情とは無縁で自分が純潔だと信じている。要するに皆ヤコブを愛しているから行軍する。だがヤコブが聞いた信託 は孤児のヤコブの男色相手のルイ伯の、罪のない子供の純潔こそが聖都の解放に繋がるという固定観念の声であったという話…
文章の中には告解も含まれているので、ていうか文脈掴むの超大変だったんで(だって今誰が話してるかわかんなくなるから)あらすじ間違ってたらすみません けど、多分こんな感じ…どうしようもなく救われない話。ヤコブに罪の意識がないから余計に救われない。しかも十字軍の結末を知っていると余計に…
新潮社、トニー・デュヴェール「薔薇日記」読了。「フランス短篇傑作選」を読んだ時から目を付けていた作家。じゃなきゃこの作家は多分どマイナーも良い所だと思うんだ(あとがきにもそう書いてあったし)。「フランス短篇傑作選」には「小鳥の園芸師」というか「さまざまな生業」という短編が収録されてる
その中の「裁き屋」っていう短編が「罪をおかしたくてたまらなくなると、まず牢屋へ行った」っていう書き出しなんだけど、すごい書き出しだと思いません か。入獄して、幾日かもしくは幾年か経つと出獄し、裁き屋の店に行って犯罪を選んでから罪を犯すというシステム。短編じゃ勿体ない位
で、こりゃ読まねばという訳で買った本が「薔薇日記」(「小鳥の園芸師」はとても高かった)。「フランス短篇傑作選」のあとがきを読んだ時に小児性愛を扱っている作家との事で身構えてたけど(興味半分もあったけど)、裏切らなかったし想像以上だった
文章のほとんどが少年との交流(深い意味も込めて)で、あとがきにもあるが全くケレン味のない文面で、普通の男女間のそれと同じように扱われている。ここで書かれる少年達は「病める大人たちの世界、現実の象徴」であるとの事。確かにここに出てくるごくわずかな大人達は皆良くない人達だった…
作者のトニー・デュヴェールはフランスでも経歴がほとんどわからない作家で、ぐぐっても全然情報が出てこないので、何故こういう作風になったのかとか、作者の背景が僕にはさっぱりわかりません。一応wikiには自伝的小説って書かれてるけど、本当だとしたらすごいな
「謹厳居士にとって、性の悦びはこの世のあらゆるものと異なったひからびた菓子であるが、わたしにとっては社会生活そのもの、糧そのものである。……男色を堪能することを妨げられないならば、わたしは乞食になろうと、強制労働者になろうとかまわない」トニー・デュヴェール
その中の「裁き屋」っていう短編が「罪をおかしたくてたまらなくなると、まず牢屋へ行った」っていう書き出しなんだけど、すごい書き出しだと思いません か。入獄して、幾日かもしくは幾年か経つと出獄し、裁き屋の店に行って犯罪を選んでから罪を犯すというシステム。短編じゃ勿体ない位
で、こりゃ読まねばという訳で買った本が「薔薇日記」(「小鳥の園芸師」はとても高かった)。「フランス短篇傑作選」のあとがきを読んだ時に小児性愛を扱っている作家との事で身構えてたけど(興味半分もあったけど)、裏切らなかったし想像以上だった
文章のほとんどが少年との交流(深い意味も込めて)で、あとがきにもあるが全くケレン味のない文面で、普通の男女間のそれと同じように扱われている。ここで書かれる少年達は「病める大人たちの世界、現実の象徴」であるとの事。確かにここに出てくるごくわずかな大人達は皆良くない人達だった…
作者のトニー・デュヴェールはフランスでも経歴がほとんどわからない作家で、ぐぐっても全然情報が出てこないので、何故こういう作風になったのかとか、作者の背景が僕にはさっぱりわかりません。一応wikiには自伝的小説って書かれてるけど、本当だとしたらすごいな
「謹厳居士にとって、性の悦びはこの世のあらゆるものと異なったひからびた菓子であるが、わたしにとっては社会生活そのもの、糧そのものである。……男色を堪能することを妨げられないならば、わたしは乞食になろうと、強制労働者になろうとかまわない」トニー・デュヴェール
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