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ヴィレの個人用呟き備忘録。美術や読書なんかを中心にまとめるよ。 読むのならあまり信用しないで、気になったら自分で調べた方が良いよ。 飽き性だからいきなりやめるかも
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星の王子さま (新潮文庫)

新潮文庫、サン・テグジュペリ「星の王子さま」読了。なんとなくクリスマスっぽいかなぁという単純な動機。あちこちから出版されてるけど今回は新潮文庫で。通常の新潮文庫と違ってつるつるした紙じゃなく、表紙イラストに金色が使われている所が凝ってる。中身もカラーで綺麗です

題名も作者も知ってたけど、物語は知らなくて、今回初めて読んだ。いや、初めてというか前に英語と独語で読まされて(何故か仏語じゃない)、読む事にあま り乗り気じゃなかった。そして、どうせ読むならまずは日本語で読むべきだと思い(やはり仏語じゃない)それが今回だったという

サハラ砂漠に不時着した、飛行機操縦士の「ぼく」は、一人の少年と出会う。こんな所に人がいる訳がないと思っていた「ぼく」は吃驚。話をするにつれ、「ぼ く」は少年が小さな星からやってきた王子様だと知り、以後は王子様の星とはどんな星なのか、何故ここに来たのかという物語になる

まぁ、真っ先に思った事は自分の翻訳なんかよりもプロの翻訳はやっぱり訳が違う。語学力がないので訳しながら読む事は逆に訳す事に熱中してしまい、訳した達成感の方が強くて物語を追う余裕がないのです。僕が訳せる位なので全然簡単レベルなんだけどね

読み進めるにつれて「こんな話だったのか」と再確認、途中で放っておいてしまったのが勿体ない位の良書だった。絵が多く字も大きいので子供向けを想像して いた事も放っておいた理由の一つだけど、全くそんな事なく、大人になってしまった子供への物語といった印象。言葉がストレートに胸に響く感じ

L'essentiel est invisible pour les yeux.
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ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 (中公新書)

中公新書、本川達雄「ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学」読了。有名な「一生のうち、心臓は約20億回脈打ち、約5億回呼吸をする」という本。だけど、その内容は最初の方で、動物の「サイズ」を中心に話は多岐にわたって説明されている。中高生の教科書にも使われそうな位読み易い、流石ロングセラー

中高生の時の生物の授業のなんとなく放置していた些細な疑問や、気にも留めなかった謎が解けていく感覚が面白かった。小さい動物は何故機敏に動くか、大きい動物は本当によく食べるのか、何故車輪のついた動物はいないのか、呼吸系や循環系は何故必要か、何故動物と植物の細胞は違うのか等々

動物学より植物学の方が好きでして。植物細胞に細胞壁があるのは細胞の攻勢が煉瓦造りというのは納得。植物学でいうクチクラは椿とかの葉っぱがてかてかし てる部分の事を指すんだけど、動物学では昆虫の外骨格を指すんだって。英語で書くとCuticula、要はキューティクルという事だと、なるほど

ヒトだけが生物ではないのだという事を再認識するとともに、自分がいかにヒト目線で過ごしていたかがわかる一冊でした。特に1章の後半「物理的な寿命が短 いといったって、一生を生ききった感覚は、存外ゾウもネズミも変わらないのではないか」という文章は、なんか気持ちが楽になったような気がする

最後に「一生のうた」という本の内容を歌にしたものが付録になっている。いや、これはいらないだろ、しかも楽譜付きって…と思いつつ調べたら、本川さん、 通称「歌う生物学者」らしく、それで本も出してて…肩書きもシンガーソングライターってあって…深夜のお笑い番組で歌を披露した事もあるようで…
La Biblioteca di Babeleシリーズ第30巻、ジョヴァンニ・パピーニ「逃げてゆく鏡」読了。イタリアが舞台の作品は割とあるけど、イタリアの小説家となるとあまりいないのは何故だろうね。イタリアなんてがっつり欧州だし、ルネサンスの代表なのに

表題他、「泉水のなかの二つの顔」「完全に馬鹿げた物語」「精神の死」「<病める紳士>の最後の瞬間」「もはやいまのままのわたしではいたくない」「きみは誰なのか?」「魂を乞う者」「身代わりの自殺」「返済されなかった一日」の10編収録。結構多めに入ってる

「泉水のなかの二つの顔」「精神の死」「もはやいまのままのわたしではいたくない」「きみは誰なのか?」が好みである。タイトルから察知できるかもしれな いが、全体的なテーマは重め、だが誰でも一度は考えた事があるであろう事が多い。故にもう少しぶっとんだ話の展開があってもいいかなと思う

「泉水のなかの二つの顔」は昔住んでたが今は廃れてしまった地方都市へ久し振りに訪れた男の話。そこには過去の自分がいて、最初はすごく打ち解けてたのだ が、次第にどんどん嫌な所が見えてきて…という物語。ドラえもんがのび太の宿題終わらせるために未来の自分を呼んでくる話があるんだがあんな感じ

「もはやいまのままのわたしではいたくない」は「私はついに自分以外にはなれない事に気付いてしまった」男の話。決して自分をやめる事は出来ない、だから 何から何まで別人になりたいのであると。だが、それは「いま在るがままの者にならないための、最善の道を踏み出している」事ではなかろうか

「きみは誰なのか?」は、手紙が届かなくなった男の話。しばらく待っても来ないし、自分から手紙を送っても返事が来ない。誰かを訪ねても知らないと言われ、憐れまれる始末。だが、そこで男には「自分は誰なのか?」という疑問が湧いてくる。存在の証拠って何でしょうね

一番気に入ったのは「精神の死」かなぁ。自殺の個人的な方法を探求するもの。ナイフや服毒、身投げ、拳銃等で自殺する事は低劣な醜悪な惨虐な下賤な行為である、らしい。そうでなく、生を緩慢な死と捉え、死にたいという意志の力で死んでゆく事を望むクレスレルという青年

「力ずくによる自殺行為。それは屠殺屋のする真似だ。そんな事は避けなければ……おのれの命をおのれの力で、少しずつ破壊し、否定していかなければ。不意に、肉体を切り刻んだりしてはいけない。そういう真似は馬鹿げている…」とクレスレルは言う。この引用は語り手が偶然拾ったドストエフスキーの「悪霊」の中に手書きで書かれていたものなんだけど、残念ながらまだ読んでないので、多分これもヒントになってるんだろうなぁと思います

「精神こそは万能であり、意志こそはこの世の君主です。望みさえすればよいのですから……死ぬためにはなるべく少なく望む事が必要になり、望まぬ事だけを望むようになるのです」とクレスレル君は言うが、確かにその通りである。純粋な自殺とは意志の力だけで死ぬ事かもしれぬ

「何も望まぬ事こそが完全な自殺」というのは、昨日宮沢賢治読んだばかりの僕にとって少し強過ぎたかも知れない。自分の精神に殉じて死ぬという事でしょう。美しいかもしれないけど辛いでしょうね。でも本人はそれが満足なんだもの、辛くて死ぬ方がきっと健全です

ずっと生きてたらやりたい事増えて辛くなるだろう
電子書籍、宮沢賢治「月天讃歌」「幻想」「月夜のでんしんばしら」「月夜のでんしんばしらの軍歌」「月夜のけだもの」「十月の末」「星めぐりの歌」「二十六夜」「よだかの星」読了。一杯読んでるようだけど、使ってる電子書籍アプリが詩一つでも一冊分の扱いしてるのでこんな感じに

テーマとしては星、月、夜で見繕って読んでた。「星めぐりの歌」は曲も一緒に聞いた方が良いなと思った。「二十六夜」は穂吉という名の大人しい梟の話なんだけど、救われない。正直この話を読むのが苦痛で時間がかかってた印象である。助けてやりたかったよ、穂吉

穂吉が人間に捕まって紐で括られてしまい、しまいには足を折られて死んでいく話。おじいさん梟が説教をしてくれるのだが、それによって救われたとは思えな い。微笑んで死んでいくのだが、もっと高みで救われているような気がしてならぬのですが。後に「よだかの星」を読んでもやもやが少し晴れたような

宮沢賢治の作品って直接的に言うと死ぬ事を目的としているのかなと思った。「グスコーブドリ」も「銀河鉄道」も空へとのぼるというか、自己犠牲というか… 生きる事は本当に日々罪を作り続ける事な気がして。「二十六夜」で穂吉の兄弟だったかな、人間の事を「畜生め」って言う場面があるが、その通りだ

「私の肢体には別の律法があって、私の心の法則に対して戦いを挑み、肢体に存在する罪の法則の中に私を虜にしているのを見る。私はなんという惨めな人間なのだろう。誰がこの死の身体から私を救ってくれるだろうか」聖書「ローマ人への手紙」7章23節~24節
角川文庫、ジャン・コクトー「阿片 ―或る解毒治療の日記―」読了。バロウズとギンズバーグの「麻薬書簡」のコクトー版という印象。「怖るべき子供たち」の翌年に出された本なので、ところどころにキーワードが入ってくるので「怖るべき子供たち」読了後に読んだ方が良いと思われる

デッサンと文章で構成され、どこからでも読めるような詩集というか随筆集というか。流石治療日記、デッサンの激しさ特に後半のデッサンは生き地獄を表現している。時折描かれる筒のような管のようなイメージは毒が排出されていく様だろうか。なかなかグロテスクである

「怖るべき子供たち」は阿片の療養中か。読んだんだけど、読書ノートつけてないんだよな。白い球と黒い球の対比がどうこうで、象徴的で想像しながら読むス タイルというか。要するに難解なんだけど、多分「阿片」の方がまだ読み易い気もする…成長したからか。一応訳が堀口大學なんだよな
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